楽曲紹介 『アルルの女』よりメヌエット 〜跳躍の練習方法〜

【曲の紹介】

この曲をきっかけにフルートを好きになられた方も少なくないでしょう。

フルートを代表する曲の一つです。

『アルルの女』は、アルフォンス・ドーテの短編小説集『風車小屋だより』の戯曲を元に書かれた劇音楽です。3幕5場の作品27曲の中からビゼーが4曲を選び第1組曲とし、管弦楽用に編曲しました。第2組曲はエルネスト・ギロ―がまとめたものです。

この曲は『美しきパースの娘』(4幕のオペラ・コミック)の劇中音楽からの借り物ですが、美しい旋律のため、独立して演奏されることが多くなりました。

原曲はハープの前奏で始まり、それに乗ってフルートが優雅に演奏し始めます。


【演奏のポイント】

譜例①の2小節目シからソの音までの跳躍が第一の難関です。ソの音が力んだり、ヒステリックにならないように、音の跳躍を上手く吹きましょう。

後半、最初のメロディーに戻ってきたところ(譜例②)は原曲ではサックスがメロディーになります。

ピアノ(サックス)とデュエットするように吹いてみましょう。

一番最後のテーマ(78小節目)からは終わりまでは、昔を懐かしく思い出すようなニュアンスで、気持ちを込めて演奏してみてください。


【奏法の解説】〜音の跳躍を上手く吹く練習〜

フルートで難しいテクニックの1つに音の跳躍が挙げられます。譜例①のシからソのような大きな跳躍時は、口先ではなく、身体全体を使って音を意識しなくてはいけません。口先だけで息のスピードを上げて高音域を出そうとすると、高い音ばかりが大きくなってしまい、フレーズがガタガタになってしまいます。

美しく旋律を演奏できるように練習しましょう!


●練習1

まずは唇とお腹の状態を一つずつチェックしながら、エアタンギング(譜例③)とフェルマータ(譜例④)で練習しましょう。高い音になるほど、身体は下に沈んでいく感覚になります。


●練習2

練習③・④ができるようになったら、譜例⑤の様に2つずつ音を組み合わせ練習します。音と音の間を意識し、美しく繋がるように意識しながら練習しましょう。


●練習3

練習1,2ができるようになれば、あと少し!

譜例⑥のようにメロディーの郭となる音をとりだし、息の流れが止まらないようにまっすぎな息で吹けるように練習します。まっすぐに吹けるようになったら、楽譜通り吹いてみましょう。この時に譜例3で練習した息の流れの中に16分音符をいれ、息の流れが止まらないように意識しながら練習しましょう。

譜例⑥と楽譜通りを交互に繰り返すことで、美しいくメロディーを吹けるようになります。


【参考演奏】 〜エマニュエル・パユ氏〜

エマニュエル・パユ氏は、現在、世界で活躍するフルーティストの一人です。

CNSM(パリ国立音楽院)を首席で卒業し、神戸国際フルートコンクール、ジュネーブ国際音楽コンクールでは第1位を受賞しました。

現在は、ソリスト兼ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席フルート奏者として世界各国で演奏しています。

下記の動画で、優雅でおしゃれな、洗練された演奏をお楽しみください。

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